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COLUMN~コラム~

【~実はエコ?ワインで酔っ払ったチーズとは!?】
皆さん、こんばんは。井上ワイナリー広報担当の石関華子です。
先日、高知大丸で開催されていたイタリア展で面白いチーズを発見しました。
その名も「酔っ払ったチーズ」。なかなかインパクトのあるネーミングですよね…。
店員さんの話では、どうやらこのチーズはワインで酔っ払ったらしいのです。
それを聞いて興味を持った私は、さっそくこのチーズを購入して詳しく調べてみることにしました。
そこで、今回のコラムでは、この「酔っ払ったチーズ」についてお話ししたいと思います。
「酔っ払ったチーズ」の正式名称は「フォルマッジョ・ウブリアーコ」。
ヴェネト州やフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州などをはじめ、イタリア全土で生産されているようです。
イタリア語でフォルマッジョは「チーズ」、ウブリアーコは「酔っぱらい」の意味があるので、日本語では「酔っ払ったチーズ」と表記されるわけですね。
では、なぜこのような名前がつけられたのでしょうか?
その理由は、チーズをワイン造りに使ったブドウの皮や種などの搾りかすが入った樽に漬け込んで熟成させるという独特の製法にあります。
ブドウの搾りかすから色素が抽出されるため、表皮の部分の色は赤紫色。
そのお味はというと、とても濃厚かつクリーミーで、口に近づけるとふわっとワインの香りが漂うので、ワインを飲みながらチーズを食べているような気分になりました。
もちろんワインを合わせても美味しいです。産地を合わせてヴェネト州のプロセッコを合わせてみましたが、なかなかの好相性でした。
他にも、薫り高いアマローネやバローロのような赤も合いそうかな、と思います。
ところで、このチーズの起源は、第一次世界大戦中に農民が食糧の収奪を免れるべく、絞りかすの中にチーズを隠したことだと言われています。それよりも前から造られていたという説もありますが、いずれにしても200年以上も前から生産され続けているのは、美味しいから、ということのほかに、ブドウの絞りかすの有効活用という側面もあるようです。
ワインを造ると、大量の絞りかすが出ます。それをチーズを美味しくするために再利用するというのは、もともと資源の少ない日本で育まれたエコ精神や、今や世界共通語にもなった「もったいない」精神に共通するものがありそうですね。
それでは今日はこのへんで。また来週!